日本財団 図書館


 

050-1.gif

田んぼに出て、穀物神に鶏を供え豊作を祈る

050-2.gif

Y点で集合しドラ踊りが始まる

050-3.gif

貝碼が古歌を歌い、祭りの始まりを告げる

050-4.gif

ドラ踊りは家々を回り祖先神と家内安全を祈る

 

ないこととなっているが、これに違反している外来者を見つけると唖巴はそれを取り落とす。唖巴は自由にドラ踊りに加わったり、あるいは踊り見物の者たちと祭りを祝い合う。深夜に亘り、タイマツが燃え尽るとドラ踊りの一行は者柯哨村の各家々を祝福して巡る。そのやり方は前と同じで古歌を歌い、ドラ踊りを踊るが、頭屋や村の主だち先輩者の家を訪れる時は古歌や踊りをたくさん行う。
二十八日、イ族の各家々の者と外来の見物人たちは者柯哨村背後の山の上、ドラ踊りの踊り場Y路地の所に集合する(近年見物人は六、七千人に達する)。リーダーの先導によってドラ踊り十二段が踊られる。つまりそれは、縄を引っ張る、結び目をほどく、すだれを巻く、鉄鎖をほどく、刈り取ったソバを並べる、花模様を描く、火を囲むなどの段である。ドラ踊りの一方で貝碼が一千行余りの古歌を歌う。その歌の詞子は冗長で、「アボラ」「トラジャ」「ムニアオゼ」の囃子言葉を繰り返す。その内容の多くは先祖の移動流転の歴史から、生活を切り開いていくまでの困難と干余曲折の歴史、仕事、狩猟、厄払い、喜鵲鳥神迎えを述べたものである。ドラ踊りの参加者は、ドラを手にしている者(一般に十二人)以外は皆棕梠の葉の扇(当地方の棕梠の葉を扇形に切って造ったものである、今では多くは紙扇頃を用いている。夜になるとこの株侶扇を小タイマツに侍ら換える)。十二段のドラ踊りが終ると貝碼とイ族の主だち五、六人が手に線香を持って古歌を詠ずる。その儀礼が済むとドラ踊り一行は天神を祀る所(ドラ踊りの躍りおの中の一番の高所)へ行って踊る。行事の期間中女性は一切参加してはならず、二人の唖巴と頭屋がずっとそれを監視している。山上では各家から持参したボロ籠の類いを積み上げて焼却される。ドラ踊りの一行は大タイマツのあたりを行ったり来たりして踊り、火の中の干し肉を争って口に入れる。彼らはそれを「唖巴肉を食べる」と言いならわしている。ある者は炎の燃え上がる所へ踊り入り、ある者は炎とともに踊り、火の粉が四方へ飛び散る。干し肉を食い終ると、十人ほどの者がタンバリン風に互いに肩の上に乗っかり、酒をドラの中にそそぎ、一人一口ずつそれを飲み、二人の唖巴は面を脱いで袋に納める。草

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION